ホーム日本での活動境南達人帖岡下新市さん(イタリア・フランス料理 ビストロ ラ・イマージュ オーナーシェフ)

境南達人帖 岡下新市さん

岡下新市さん写真 岡下新市さん写真

岡下新市(おかした・しんいち)
1962年に東京生まれ。15歳で料理人の道を志す。20歳でフランスに渡り、3年間修行を積む。1987年ホテル西洋銀座に入社。1996年、退職と同時に「ラ・イマージュ」を独立開業。現在、子どもが大好きな3人の父親。

~料理人への道~
小1で父親を亡くし、母親が仕事にでていた為、料理・洗濯など家事全般をこなしてきた。料理との出会いは必然的なものだった様子。それをキッカケに、少年期から料理に興味を持つ。中学時代、様々なやんちゃをしてきたが、卒業後、料理の世界に入る。ライフワークとして料理人の道を選んだ理由は、やはり「料理が好き」という思いからだったそうだ。フランスから帰国後は日本一のソムリエ、田崎真也氏と共に銀座を象徴する『ホテル西洋銀座』に勤めた。30才で銀行員だった奥様と、結婚。奥様曰く「こんなはずではなかった」そうだが、ランチタイムのお店をホールで支える、良きパートナーである。

~地域の父親としての一面~
岡下さんは毎朝子どもを小学校まで送り、通学路を歩く全ての子どもたちを学校まで見送っている。休日には子どものサッカー教室まで同行する。岡下さんが言うには、最近は挨拶や返事など当たり前の事が出来ない子どもが増えているそうだ。岡下さんはそのような子どもに対し出来るだけ声がけし、社会のルールを指導する「地域の父親」のような存在だ。とにかく子どもが好き、という岡下さんだが、ただ可愛がるだけではなく、きちんと誉め・叱ることで子どもと正面からコミュニケーションをとる事が出来る、古きよき日本の父親である。

~生きていくうえで大切にしていること~
「とりあえずトライすることが大切」という岡下さん。「目標に達する前から諦めてしまったら、それで終わってしまう。トライする前の前進はない。」と言い切る。岡下さんの今までの生き様をそのまま表すようで、心にずしりと響いた。

自殺が増加している現代の日本の状況を岡下さんは嘆いている。岡下さんは今までに五回程交通事故に遭っている。生死をさ迷うような大きな事故に遭ったこともあるが、それでも今生きていることに対して「人生は、たった一度しかない。人生を思う存分楽しむ方法は、幾らでもある。だから自らレッドカードを出さずに人生を楽しんで欲しい。」と言う。

岡下さんが人生で嬉しかったことを聞いてみると「仕事中に失敗をしても、励ましてくれるお客さん、また料理を食べに来てくれるお客さんがいることが、一番嬉しい」と言う。逆に辛かったことを聞いてみた。「自分には、辛いことはない。くよくよしたって仕方ない。自分は明るさが取り柄。人生どうにかなるさ。生きているだけでラッキーだと思わなきゃ。」と満面の笑みで答えてくれた。

~若い人へのメッセージ~
 「自分の立場では若い人に言えることはない。」と一言。その理由を尋ねると、「自分自身まだまだ子どもだと思うし、偉そうなことは言えない。」と言う。以前と比べて、年齢と比例した行動を取れる人が減ってきたと感じている岡下さんは、「ただ、一人ひとりが自覚を持って年相応の行動ができれば良いのではないだろうか。」と語ってくれた。

~お店情報~
イタリア・フランス料理 ビストロ ラ・イマージュ
東京都武蔵野市境南町2-5-9 ステイタス武蔵野103
TEL/0422-33-5630
営業時間:AM11:30~PM3:00/PM5:30~10:00 *月曜定休
オーナーシェフ岡下さんのお薦め!
みんな大好き リッチな定番 感動のカルボナーラ
生ハムとゴルゴンゾーラ・木の子のピザ ポナペティート
【特典】
「ACTIONのHPを見た」でドリンク1杯サービス。


インタビュアーの感想
一見すると恐そうな印象の岡下さんでしたが、話し始めると、終始絶えない笑顔がとても素敵な方でした。人への愛や優しさに溢れていて、岡下さんの作る料理にもそれが表れているようでした。今までもそうだったように、岡下さんも、岡下さんの料理も、これからも多くの人に愛されていくのだろうと感じました。(羽田真季子/武蔵野大学3年)

とにかく熱い方でした。今回初めて「料理のプロ」の方に人生観を聞きましたが、「人生」を楽しみ、「人生」に対して真剣な人は本当に魅力的だと思いました。岡下さんの「最近の若い人は目標に到達する前にイエローカードを出す」という話に考えさせられていまいました。もしかしたら、私たちは目標を持つことさえしていないのかもしれません。

環境が備わっていても、将来・進路に不安ばかり感じる私に、「生きているだけで幸せ」という岡下さんの言葉は心に響きました。全く別のフィールドにいる人と、会話すること・時間を共有することで、今まで持ち得なかった価値観に触れることが出来ました。次回の達人帳第2弾が今からとても楽しみです。(森川綾香/日本女子大学4年)